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パフォーマンスマネジメントで従業員の成果につなげる方法

パフォーマンスマネジメントで従業員の成果につなげる方法

この記事は3分ほどで読めます (約1702文字)

パフォーマンスマネジメントとは、従業員を評価・マネジメントする手法。

特徴的なのが、従業員のパフォーマンス(行動)を成果につなげるために、一人ひとりの持つ能力やスキル、モチベーションを引き出し、目標達成を目指すマネジメント手法です。

上司が効果的なフィードバックを行う必要があるため、上司のマネジメント力、傾聴力が問われるマネジメント手法になりますが、変化に柔軟に対応でき、導入がうまくいくことで、従業員エンゲージメントも高まり、モチベーションの高い従業員の行動で企業の成長を加速させます。

ゼネラル・エレクトリック(GE)やアドビシステム、アクセンチュアといった日本でも有名な外資系企業が取り入れている、パフォーマンスマネジメント。パフォーマンス・マネジメントの効果と求められる背景と、職場での導入ポイントについて解説します。

パフォーマンスマネジメント導入のメリット

パフォーマンスマネジメントの最も大きな効果はスピード感。ICT技術の浸透、DXが叫ばれるいまでは、日本国内をターゲットとしてる企業であってもグローバリゼーションのスピードに対応していかないと取り残されてしまいます。

パフォーマンスマネジメントは、後述する導入のポイントにも記載するように、マネジメント層によるフィードバックをタイムリーに行います、
そのため行動と結果が早いうちに評価されるので、学習効果が高まり、軌道修正もしやすくなります。その結果、外部のスピードに対応した評価がうまれます。

また短いサイクルでの上司と部下のコミュニケーションは従業員のエンゲージメントにつながり、目標達成のための障壁への対応や相談にもタイムリーに乗ることができるため、上司部下の関係性が深まります。

そのほかにも以下のような効果があると言われております。

  • 業界の変化にすばやく対応できる
  • 従業員エンゲージメントの向上につながる
  • 従業員の主体性が高まる
  • 従業員の仕事がやりやすくなる
  • 従業員の帰属意識が高まる
  • チームのコミュニケーションが活性化する

パフォーマンスマネジメントが必要な背景

パフォーマンスマネジメントの最大の特徴はスピード感。年次評価を用いた従来型の目標管理制度ではビジネスの進化やスピードについていくことが難しくなっていることが挙げられます。

ICT技術の進化やDX推進によって、ビジネススピードが進化し、柔軟な対応が求められるビジネス環境では、当初の計画に固執するよりも、顧客のニーズの変化を的確に捉えて対応していく力が求められます。

そういったスピードと変化の激しい環境のなかで、組織として従業員のパフォーマンスを最大限に引き上げ、生産性を向上させるためには従業員一人ひとりの目標と組織の目的をリンクさせることが必要不可欠となっています。

MBOでは従業員の成長がはかれない

日本で最も浸透している目標管理方法としてMBO。

一定期間ごとにその達成度合いを評価するため、半年もしくは1年間といった長期的な目標となってしまいます。

前述したように変化の激しい近年のビジネス環境の中では、組織の目的やビジネスの実態、目標そのものとのズレが生じてしまい、初めに立てた目標が必ずしも組織全体の目的と離れてしまったり、実際の環境とそぐわなくなってしまうといった、弊害が指摘されるようになってきました。

期間が空いてしまうことによって評価自体が目的になってしまったり、組織が柔軟に機動的に動けなくなってしまうなどの問題点が出てきました。

その結果、組織の目的と従業員個人の成長がリンクせず、従業員の成長がはかれない結果、従業員のモチベーションが低下し、離職や生産性の低下につながります。

パフォーマンスマネジメントの取組み方

パフォーマンスマネジメントは経営計画を立てた当初の目標や業績を達成するための数値上の管理からのマネジメントではなく、一人ひとりの従業員のパフォーマンスを最大限に引き出すことに注目した手法。

企業・組織と従業員の双方が信頼し、エンゲージメントを向上させることで、生産性を向上させることで、激変するビジネス環境にスピーディに対応できる企業や組織を作り出すという意識が必要不可欠です。

そのための一般的な取り組み方はたったの2つ。

  1. 目標設定
  2. フイードフォワード

になります。

目標を設定する

パフォーマンスマネジメントでもMBOやOKRと同様に目標設定を行います。

ミッションやビジョン、経営理念などに示された目標からチーム、個人が達成するべき目標をたて、とるべき行動は何かを上司と部下で考えていきます。

さらに組織の目標から掘り下げたチーム全体の目標を明確にし、チーム内での対象者に期待される役割を導きます。

さらに、チームとしての他メンバーとの関係、どういったサポートを求め、求められているかを確認します。

ポイントは、どのような基準で何が評価の対象となるのか、目標に向かうプロセスや行動を本人とマネージャーが共通認識で理解している必要があります。口頭合意や曖昧な議事録だと解釈の幅が広がり、期待した結果が違うものになってしまう可能性があるため、企業の目標に対してチームの目標がどのようにつながっており、その結果個人の目標となったのかも明確にしておくことも重要です。

目標設定の事前準備(従業員の把握と会社の目標の理解)

前述したように、上司と部下で目標設定を行う上で、部下の現在の状況。スキルや希望、課題などの把握、チームの目標・目的が企業や組織の目標・目的に沿っている必要があります。

従業員の把握

パフォーマンスマネジメントは部下の評価のための指標や手法ではなく、生産性を向上させることが目的。現在の部下のパフォーマンス・モチベーションがどの程度あるのか?というのを理解しておくことが必要不可欠。

その上でチームの目的・目標との整合性のとれた個人目標を設定しましょう。

企業の目的・目標の理解

またチームの目的・目標が企業の目的・目標にどうリンクしているのか?も重要。

またチームの目標が企業の目的・目標にリンクしているとマネージャー層が理解していたとしても、部下が納得・理解していない場合にはエンゲージメント が下がってしまう可能性が高いため、チームの目標設定も綿密、明快に行いましょう。

その上で、部下への啓蒙・浸透を行い、共感した上での目標設定が大切なプロセスとなります。

フィードフォワード

コーチングの手法、フィードフォワードを用いた、上司と部下の目標管理を行います。

通常ビジネスでは 目的・目標とその結果の誤差の修正を経過測定として行うフィードバックが用いられます。結果から誤差や修正点や問題点を探り、修正を行うというもの。つまり、ダメ出しや原因追求になってしまいがちでモチベーションが下がる大きな要因となります。

フィードフォワードは解決のための手段を導き出すこと。マネジメント側の視点を未来にむけることで、次はこうしたら?や次回はこのような取り組みをしたらどうか?といった未来への指針を締めるコメントを残すことが特徴です。

フィードフォワード手法は一緒に考えて未来へのステップを踏む手順なので上司部下の関係であっても、比較的フラットな関係を構築しやすく、一緒に進めていくという意識からエンゲージメントが高まると言われています。

上司はグロースマインドセットできるように支援する

目標設定・フィードフォワードいずれも、部下の行動を肯定的に見ることが重要な要素となります。

成長意欲を促進させるために、以下のポイントを心がけて部下への接していくことが大切です。

  1. 失敗したときはどうすれば成功するかを考える
  2. 成功したことを褒めるのではなく一緒に喜ぶ
  3. 結果ではなく過程を褒める

そうすることで部下の心理的安全性が高まり、自走する人間となっていきます。

ただし、社会人になってから突然こういったことを行われても、なんだか信用できないと、なんか怪しいと思ってしまう部下も多くいます。すでに固定概念を持つ良い大人の固定概念が邪魔をしております。

そのために、グロースマインドセットできるように部下のことをよく知る必要があります。ですので、部下とのコミュニケーションとチームでの現在の立ち位置など事前の調査を入念に行うことが必要不可欠となります。

パフォーマンスマネジメントを継続させて企業成長につなげる

従来のマネジメント手法、評価者と対象者という関係性からいきなりコーチングを主体としたパフォーマンスマネジメントの移行することは、マネジメント層にとってもハードルが高いですし、部下の立場でもどのように接していいか分からない状態です。

ですので、マネージャーの成長も同時に期待した動きをすることが必要不可欠。

綿密なチェックが必要となるパフォーマンスマネジメントはスタート時はコストと効果が見合わない、なかなか成果が出ないといった結果になります。しかしパフォーマンスマネジメントの肝であるフォードフォワードはパフォーマンスマネジメントをうまく運用するためにも利用し、次はどのように改善していくか?と将来に向けた改善をし続けることによって、個人の成長を企業の成長につなげることができます。

そのためにも個人の成長やメンバー同士のエンゲージメント、企業・組織と個人とのエンゲージメントをはかるツールの導入などを行うこともひとつの手段となります。

個人の成長を支援する結果が企業の持続的成長につながるという短期的・長期的に効果のあるマネジメント手法なので、導入してもうまくいかない、導入した後の効果測定や次の施策が浮かばないといったときも次はどうしたら良くなるか?を考えながら継続することで、企業の体質も変化し飛躍的な成長につながります。

この記事を書いた人
名越 和徳

名越 和徳